| 100万円という現実をあなたに贈る●まえがき
JRAが遂に新馬券「5重勝単勝式馬券(=以下5重単)」を導入する。発売開始は2011年。競輪のチャリロト・セレクト(7重勝単勝式車券)のように、数千万円という高額配当を年に数回目にすることになるのである。いや、車券よりはるかに売上の多い馬券なら、1億円を超える配当が毎年飛び出すかも知れない。【馬券の宝くじ化】の第一歩か……。
「これは大チャンス!」
競馬ファンの多くはそう思うだろう。本書を手にするようなデータ派の馬券ファンも少なからず心はときめくだろう。確かに宝くじに匹敵する高額配当を得るチャンスが来たことには違いないが……。
「ちょっと待て!」
1回あたり40〜50億円売り上げるロト6で「億」を手にするのは毎週一人か二人、多くて三人。キャリーオーバーのない通常発売時は、四人以上の的中者が出た場合は1億円を割ってしまう。前回キャリーオーバーが発生している場合でも十人以上が1億円を手にすることはまずない。
つまり競馬で「5重単」が発売されたとしても、「億」や「何千万」も手にできるのは、毎回ほんの数名ということになる。ほんの数名しか的中できない馬券とは、5戦とも、ほとんどの人が「勝てない」と思った馬ばかりが勝つような「とんでもない結果」だということだ。
では「とんでもない馬」が勝つ時はどんなときか?
「天皇賞・春で100万超馬券が出た年の天皇賞・秋」
なるほど。13番人気のスズカマンボが天皇賞・春を勝って、3連単の配当が193万円を超えた2005年は、天皇賞・秋でもスズカマンボの同枠にいた14番人気のヘヴンリーロマンスが勝って、3連単配当は122万円超えの大荒れだった。
「G1牝馬が引退レースで4枠に入ったとき」
確かに2009年はそうだった。中山牝馬Sは4枠のキストゥヘヴンが引退レースを勝ったが、エリザベス女王杯も引退レースだったカワカミプリンセスが4枠に入り、その同枠にいたクィーンスプマンテが人気薄で勝った。データ派は波乱の結果に対して「なぜそうなったか?」を検証するので、その「おさらい」が今後に生きることは確かだ。
「でも、ちょっと待った!」
君がいう「とんでもない馬」が勝つときはG1ばかりではないか。でも「5重単」は当日のすべてのレースから5レースを選ぶ馬券。平場の500万下とか1000万下とか、障害レースとか、2歳条件戦とかが指定レースに選ばれたら、どうやって「とんでもない馬」を見つけるのか?
「それは当日の出目とか騎手とかの流れを見て……」
結局はそうなってしまう。普段手を出さないことも多い条件戦は重賞に比べて極端にデータ量が少ない。それを当てなければならない。つまり「5重単」の最大のハードルは「重賞以外のレース」の攻略法だといえる。
数多くのデータを分析していけば、いずれは条件戦も含めた「勝ち馬解読のノウハウ」が蓄積されるだろうが、データが足りずに勘に頼らなけらばならないうちは、「5重単」馬券は宝くじと変わらないのである。
同じ「夢」を狙うなら、もっと現実的な「夢」を。それが本書のテーマである。具体的にいえば、蓄積したデータを最大限に生かせる重賞について「3連単の的中精度を極めよ」ということ。3連単は「5重単」のように8桁配当がポンポン飛び出す馬券ではないが、7桁配当(=100万超馬券)は毎年重賞でも平均6〜7レースは記録される。2カ月に1回はチャンスが来るのである。
確かに「その日の払戻しが1000万円超え、ひょっとしたら1億円超え」という「5重単の夢」は魅力的ではある。しかし「とんでもない馬」を勘に頼って買っていては、いつ当たるかわからない。一方、重賞ならなぜ「とんでもない馬」が勝ったのかがわかるという人は、「7桁配当」を掴むチャンスが2カ月に1回あるということ。
つまり「5重単配当」の1千万超馬券を100円当てるより、「3連単配当」の100万超馬券を1000円当てるほうが、より現実的で「夢」に近づくわけだ。
前記キストゥヘヴンが引退レースを勝った2009年・第27回中山牝馬S。3連単配当は100万超馬券、3連複でも23万円を超える波乱となった。1着が4番人気キストゥヘヴン、2着が15番人気ピンクカメオ、3着が11番人気ダンスオールナイト。さすがに1000円分の的中とはならなかったが、1着に横山典が騎乗する「引退が決まっているキストゥヘヴン」を固定、「ヤマニンメルベイユと同枠で前走初音Sを勝っているダンスオールナイト」を2・3着付けに流した馬券で引っ掛けることができた。
他の馬券も含めた購入総額2万円弱が1レースで200万円近くに膨れ上がった。これが先ほど書いた「現実的な夢」を狙うという一つの例である。単純計算で資金が10倍あれば2000万、100倍あれば2億円。そうなってくるとさすがに税務署に目を付けられるが、「5重単」導入前でも「考えて仕留める夢」があることがおわかりいただけただろうか。
【馬券の宝くじ化】を目論んでいるJRAの策略に流されてはいけない。2011年から購入馬券の配分をいきなり「5重単」にシフトするのは危険である。敢えて「夢の5重単」発売の1年前に、「夢の3連単配当=100万超馬券」の狙い方ついて書くのはそのためだ。
いずれは「5重単」の攻略法もある程度蓄積されるだろうが、その前に「3連単」を極めたい。おそらくそれが(勝ち馬特定のノウハウが)新馬券攻略にも繋がってくる。本書はその「3連単の極み」である「100万超配当」にスポットを当てた、かつてない、無謀ともいえる1冊である。「夢」に手をかけたいと思う人はお付き合い願いたい。
K.カワバタ
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