160億の半分はオレのものだ●まえがき

 「競馬で160億円稼いだグループがいるらしい」
 知人から筆者のもとに届いた世紀の大ニュースの第一報は、これだった。
 「160億?」。唖然としながらも、どうやら「巧妙に資金配分」をしたうえで1レースの投入額は1億円強、式別は3連単! と聞いて「ありえるかも……」と思った。
 競馬は複雑な組合せと控除率25%(単勝・複勝は20%)という高い壁がある。これを、クリアし安定した利益を計上するには資金配分、すなわち「戦略分配法」を駆使するほかないからだ。
 実は、このシステムは十年以上前に、競馬プロを目指す人々のために筆者自ら考案し発表したものだ。
 報せを訊いて急いで駅前の売店に駆けつけ売れ残りのタブロイド紙を購入してみると、そこにはこんな記事が載っていた。
 「所得隠しを指摘されたのは香港に親会社のある都内のデータ分析会社「UPRO(ユープロ)」(渋谷区)。同社ホームページなどによると、同社は株式市場の分析やコンサルティングが主業務だが、実際は競馬で得た配当金が主な収益源だった。設立は2005年。07年までの3年間で約160億円の所得隠しが国税局の調査で発覚。昨年、法人税法違反容疑で同社に査察を実施した。国税局は査察の際、英国人社長のパスポートを押収。刑事告発の準備を整えていたが、社長はその後、在日大使館に『紛失した』と申告し、パスポートを再発行させ出国したという……」(2009年10月10日発行 夕刊フジ)
 さて、気になる中身であるが……。
 「3着に入らない『はずれ馬』を除外したうえで、残りほとんどの組合せの馬券を買う手法であったため、資金力のない一般の競馬ファンにはまねのできないやり方」とも。倍率(オッズ)に応じて投入資金を配分し、配当金が投資額を上回るように巧妙に計算されていた……」(同、夕刊フジ)
 この報道の内容が正しければ、さきに記したようにこの手法は筆者が10年以上前に発表したW戦略分配法Wの仕組みそのものである。
 とはいえ、160億円の稼ぎを額面通りに受け止めているわけではない。
 この会社の代表者はすでに海外に出国しているとのことで、取材源もなくこちらで勝手に推測するほかない。
 筆者の推測では、おそらく利益は追徴課税額と同額の60億程度だろうと考えている。
 つまり、100億円は嵩上げされた報道だということだ。そう断定するには、それなりの根拠はある。詳細は本文に譲るとして、馬券を当てるということと、儲けるという発想はまったくの別物であることを認識してほしい。
 戦略分配法であれば、儲けることはたやすい。しかし、これは勝ち馬を予想するノウハウではない。このシステムでは、そういった難解な作業は不要なのである。
 「バカな? 勝ち馬を予想せずにどうやって儲けるのか?」
 そういうリアクションはごもっとも。しかし、その方法がひとつだけあるのだ。
 そう、繰り返すが「戦略分配法」を駆使すれば、勝ち馬を予想せずに儲けが出る。しかもどのような馬が勝っても、である。
 単勝を使った戦略分配法は、当時連載していた『FLASH別冊競馬の達人』(光文社刊)、『競馬ゴールド』(日本文芸社刊)にて発表したものだ。競馬ブームが頂点を極めていた頃の話である。もの凄い反響だった。
 「単勝・戦略分配法」とは、「単勝3.6倍より人気の1番人気の馬を1頭切り捨てし、残ったすべての馬を払戻額が購入額を上回るようにオッズに比例して資金配分して購入する」というものだ。
 一般に、1番人気の馬が勝利する確率は30%。いいかえれば目をつぶって実践しても70%の確率でこの方法は成功するということだ。
 筆者は、この現実を踏まえて誰にでも簡単に実行できる方法を確立し公開したのだった。
 そして、このシステムの原型となったのが拙著『戦略P理論』(メタモル出版刊、1998年)である。今でも手に入るので興味のある方は読んでいただきたい。
 この本では、枠連・馬連を使っての全点買いを提唱。全点買いを前提としているため、的中率は100%である。当たり前の話であるが、どんなに難解なレースであっても、すべての組み合わせの中に的中馬券があるからだ。
 『戦略P理論』では、「狙い目」とそれがハズれた際の「保証率」という二段構えの資金配法を設計。このことで、狙いがハズれても保証率で設定した分(例えば50%なら、狙いの目かハズれても5割の資金は戻る)の配当は還元される仕組みとなっていた。
 また、オッズの妙味で、大波乱となったときには、狙いがハズれてた際に予定した保証率で留まることなく、投入資金を上回る組合せを引くことがある。これをプラナチカードと命名。思わぬ命拾いをするプラチナ馬券が多数含まれていることで、狙った買目が逸れても儲かってしまう仕組みも公開したのである。
 少々説明が長くなってしまったが、UPROが戦略分配法を採り入れのは、それが投資にもっとも適した手法であることを熟知していたからだろう。
 タイムラグを考えれば、筆者の提唱した戦略分配法の理論をどこかで入手し、3連単馬券にあわせて改造し分散投資(デリバティブ)を行ったということになるではないだろうか?
 なにせ、筆者がこのシステムを公開した当時は、馬券といえば「単勝」「複勝」「馬連」「枠連」しかなかった時代である。ワイドも、馬単も、3連複も、3連単も存在しなかったのだから。
 報道にあるように、UPROが実践したとされる戦略分配法のシステムは、筆者が考案したのは事実であるがこれを実践するには、「馬券に絡まない馬の特定」が必要となる。
 戦略分配法のW本当の極意Wは実はそこにある。
 そのため、筆者は1番人気が沈むメカニズムを今日の今日まで封印してきた。
 封印したわけは、ふたつあった。
 ひとつは、極意に気がついている少数の人々の利益を毀損してしまうこと。
 そしてもうひとつは、詐欺に使われる可能性を危惧してのものだった。
 事実、巨額脱税の報道がなされてから、幾日もたたないうちに、UPROとの関係を匂わす詐欺商法が出現しているとの報告を各方面から受けている。
 そう考えれば、封印という当時の選択は正しかったと思っている。そんな輩の振る舞いで、戦略分配法の本当の価値を歪められてはたまらない。
 しかし、現実にこのシステムを自分のものとし巨額の利得を得た集団が出現したことを考えると、いつまでも自分の懐に入れておくことはできない。そんな想いから、本書では人気馬が沈むメカニズムを含めて一挙公開することとした。
 なお、単勝・戦略分配法にくわえて、ファンドが行っている分散投資(デリバティブ)を使った競馬手法も公開することとした。この分散投資と単勝・戦略分配法を完全マスターすれば、無敵である。
 この二つの戦法は、表裏一体の関係にありどのような局面でも利益に結びつけることが可能となるからだ。
 なお、本書では厄介な戦略分配法の計算方法を、電卓ひとつあれば実践できるように「逆張り配当表」を用意した。


目 次

160億の半分はオレのものだ●まえがき

Shoot1 競馬を利殖に変えた戦略分配方式
 逆張りで実現する超簡単利殖法
 波乱を呼ぶブエナビスタ
 ドリームキラーに変貌した女帝ウオッカ
 約束された回収率

Shoot2 誰でも勝てる戦略分配方式
 計算は至極カンタン
 1万円でも充分勝負できる
 ドリームキラーを見つけたら勝利は我が手に
 電卓ひとつで誰でもできる
 ドリームキラーの選び方
 マスコミの特性の裏をかけ

Shoot3 ファンドマネージャーの思考法
 逆張りか、順張りか
 順張りはファンドマネージャーの思考法
 「順張り」の計算式
 リスクはほとんどない
 99.968%の確率でこのファンドは成功する
 ウオッカでファンドを設計する
 人気馬のファンド設計はシーズン単位で実行する

Shoot4 なぜ株より競馬だったのか?
 160億稼いだは本当か?
 では、彼らの正体はなんなのか?
 株より競馬
 誰でも手に入るプログラム?
 なぜ3連単か?
 3連単も単勝も理屈は同じ

Shoot5 モンスターシステム上級編
 敵はJRAに非ず
 3つのキモ
 自分の土俵で勝負する
 順張りと逆張りの複合戦略
 逆張りでタネ銭を作る
 順張りでハイリターンを達成する
 順張りは1番人気に限らない
 複合戦略には3つのシナリオがある
 逆張りで入り、順張りでさらに儲ける
 馬連は「順張配当表」で配当予定額を知る

Shoot6 モンスターシステムのキモ
 勝ち馬に執着してはいけない
 花は人の行かない所に咲いている
 モンスターシステムが存在する
 ドリームキラーの選定条件
 ドリームキラーの正体はジョッキーだった
 門外不出のデータはまたの機会に

あとがきにかえて









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