「競馬に勝てない病」のワクチンが本書である●まえがき

 2009年の競馬がスタートした。今日小著を手にとってくださったあなたは、目前に迫ったクラシックの前に昨年のリベンジを誓う熱心な競馬ファンかもしれないし、片岡のいう「競馬番組理論」を、以前どこかで耳にしたことがあったという気まぐれな読者かもしれない。
 まあ貴方が競馬に対してどのような立場の方であるにせよ、まずは小著を手にしてくださったことに心から御礼を申し上げたい。そのうえで私はこう考えている。
 JRA競馬のファンはとは、一カ所の練習場もない国で毎週コースに出掛けるゴルファーであり、道場がない国で知らぬあいだに無差別級オリンピック代表に選ばれてしまった柔道家のようなものだと。
 先週も先月も、5年前10年前もティーショットはOBばかりだ。たまに当たっても結果はナイス・チョット……。明日こそ来週こそとあれやこれや道具を変えてみたけれど、20年このかた90はおろか100を切るのもおぼつかない。俺ぁゴルフに向いてなかったなと思わずため息。そのため息は新年の願掛けに出掛けた1月4日、中山金杯の帰り途で競馬ファンがついたため息そのものである。
 JRA競馬ファンの不幸とは、予想が当たらないことにあるのではない。大好きだと、ここらで一発逆転を賭けようと競馬場へ向かう前に、己を鍛錬する場所や機会を全く持てないことにあるのだ。
 ゴルファーたちはスコアが悪ければ、次のラウンド前に1度や2度練習場に出掛けて修正したり、インストラクターのチェックを受けることができる。しかし競馬ファンはといえばゴール前で、もう紙屑になるのが決まった外れ馬券を放り投げて、
 「13が勝つのはいいさ、だけど14は買えねえよ」
 居酒屋の親爺相手にトグロ巻くのがせいぜいなのだ。
 何で14は買えないのだ。昨日の夕方、テン乗り(初騎乗)のアンカツから、明日は買わないでくれの電話でももらったのか。
 今週は「この馬買えねえ」といって負けたあなたは、来週も「あの馬だけは買えなかった」と居酒屋で愚痴っぽくチューハイを飲むばかり。頭へきたからこうなればスポーツ紙で見た予想会社、30万は高いけど勝てるなら惜しくはねえよと大枚を叩いて、結局は居酒屋の常連を続けることになる。
 どこのどんな御仁がやっているかは知らないが、その予想へ無批判に相乗りする唯一の根拠が「大金払った」という以外に何もないなら、それは金を払ったゴルフ場で、キャディにショットを頼むゴルファーではないか。
 競馬は赤の他人が畜生に跨って走るから難しいのではない。あなたが競馬を闘おうとするとき、どうしても身に付けていなくてはならない基本的な技術を、何一つ知らないまま立ち向かうから難しいのだ。
 2009年1月4日と5日、なぜ今年東西の金杯は分割されたのだ? 全レース馬番3連単発売の新機軸から、どうして一函、二福、三阪の夏季番組は除外されたのだ。そして今から立ち向かおうとする春のクラシックは、シンザン記念もフラワーCもNHKマイルCも、全部がマル国戦になりG表記されているなかで、なぜJpn1のままなのだ?
 そうした事実を疑問とさえ感じない、考えたこともないあなたは、中学校の体育の授業以来という柔道着に着替えて、195センチ130キロのロシア人と対決するメダル候補か。開始8秒で絞め殺される前に柔道着は脱ぎ捨てて、競馬番組表の頁を開くことを勧めたい。そこで鍛えた知識と技術が、はじめてあなたにメダリストの可能性を与えてくれるだろう。
 2009年春、その場所は1年後の春季競馬開催完了までを覆い尽くした強烈なパンデミック(感染爆発)の只中である。生き延びるためのワクチンは、あなたの愛読する専門紙やスポーツ紙の紙面からは決して得られない。なぜならそうしたメディアは、あなたが何年も前に手にした日、すでに発病していた重症患者だからだ。
 小著が特効薬になるか予防薬になるかはわからないが、知らぬまに発病していたとあなたの自覚を呼び起こせれば、上木の甲斐もあるというものだ。


目 次


「競馬に勝てない病」のワクチンが本書である●まえがき

第1章 JRA競馬・感染爆発の真実
 なぜ1月4日に中山金杯なんだ?
 想像を絶するオペレーションの前兆
 こうやってゲームのルールは守られる
 自爆テロリストたちの系譜
 偶然なのか? 必然なのか?
 スーパーホーネットがダービー馬?
 それは2007年1月6日に発生した
 ウイルスは死滅しなかった
 ウイルス感染は2009年も続いている
 レースではなくゲームとしての競馬
 コスモバルクが勝てないのに出走する理由
 2009年のG1群はすでにもらった!

第2章 2009年、競馬で家が建つ
 金杯分割開催の意味
 Jpn勝ちは前科か?
 JRAは仮設住宅を建てた
 つまり今年は何でもありだ!
 国際化へのステップ
 あなたは毎週毎週競馬をやり続ける
 オペレーションのしくみ
 春の競馬は宝物ザクザク

第3章 2009年JRA競馬との闘い方
 表記を疑うのはなにも食品ばかりではない
 「オレたちには明日がない」馬が台頭
 この春はバクチ打ちに変身!

第4章 2009年皐月賞のベクトル
 いちがいに皐月賞といってもいろいろある 
 馬券体系の変化で勝ち馬指名が変わる
 答えはポジションの違いだった
 GとJpn
 2009年の皐月賞馬は?
 神のみぞ知る。しかし神は……
 トライアル馬を軽視せよ!

第5章 2009年春の天皇賞の決着構図
 あなたの予想手順を予想する
 無駄な展開論は捨ててみたらどうだろう
 2009年春の天皇賞の主役は?
 ダイワスカーレットはだから引退した

第6章 2009年宝塚記念の勝ち馬
 宝塚記念は1年のはじまりのG1
 記憶はあなたの幸福をもたらす
 エイシンデュピテイ、幻の有馬2着
 国際化=アリバイ工作
 シンプルイズベスト

あとがき









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