通販の仕事を始めてから早くも四半世紀……、月日の流れの速さにびっくりですが、通販を取り巻く環境の変化にもびっくりです 。
  失われた20年と呼ばれるこの期間をまるごと、通販との関わりの中で過ごしてきた私ではありますが、幸いなことに通販業界はこの間、日本で唯一、成長し続けることができた業界でした。
  「不況になると通販が伸びる」というのは業界でよく耳にする言葉です。しかし、不況下にあってもずっと成長を続けたのには、大きな理由がありました。1995年前後から始まったネット通販急拡大の時代が、通販市場全体を底上げしているのは明らかだと考えます。
  インターネット上のショッピングモール「楽天市場」がオープンしたのは1997年。そして、アマゾンが日本で本を売り始めたのが、2000年です。日本のネット通販をけん引する2つの巨大サイトが登場して、今ではパソコンやスマートフォンを使って、ネットでお買い物をすることが当たり前ですよね。そして、2013年にはLINEのネット通販の参入の発表に続いて、ヤフーショッピングの出店無料化も発表されました。今後、ネット通販がますます拡大成長していくことは容易に予測されます。
  多くの企業のみならず、個人が簡単に通販に参入できる時代。その現象に拍車がかかっていくわけです。それによって、さまざまな商品が世に出ることになるでしょう。流通が限定されていた地方の特産品や、個人アーティストが作る作品、主婦の手作り品なども、もしかしたら近未来のヒット作となるかもしれません。
  しかし、ネット通販に限らず、直接、人が接客しない通販というものには、店頭とは大きく違う点があります。それは普通に「商品」を売ろうとすると、まず売れないという事実です。というと、、「えっ、だって通販で何百億も売ってる企業がいっぱいあるじゃない? ネット通販はすごく売れているのでしょ? いったい、それってどういうことなの?」と、あわててしまう人もいるでしょう。はい、つまり店頭の棚に商品を並べるように、ネットの画面に商品が並んでいてもまず売れないということです。
  実は通販で大きく伸びた企業が通販で売ってきたものは、モノとしての商品ではなく、商品の背景にある「ストーリー」と、商品を使うことで変わってゆくはずの「可能性」、この2つだったのです。
  通販に限らず、ヒット商品をじっくり見てみると、実はモノのバック(背景)にくっついているストーリーが優秀な商品が売れていることがわかります 。
  たとえばチーズケーキ。どこの町のケーキ屋さんにもあるし、コンビニにもありますが、北の港町のイメージを使った某チーズケーキ通販の会社は大人気です。たとえば油とり紙。ドラッグストアや100円ショップでも売っているけれど、京の舞子さんが使っている油とり紙となると、少々高めの価格であっても売れていきます。
  こんなふうに、ストーリーがあるかないかで、その商品の価値は大きく変わります。
  ことにネット通販は価格検索が容易な媒体ですから、どこのお店でも買える商品は厳しい価格競争に陥りがちです。同じファンデーションに見えるけど、特別な機能があるとか、従来のコラーゲンにはない特別なドリンクであることな ど「他の類似品と比べての特別な優位性」を訴求しなくては、価格が通らないのがネットの厳しいところです。
  あなたは商品を3000円で売りたいですか? それとも5000円で売りたいですか? と問われて「そりぁ、可能であれば5000円で売りたいですよ。でも、どこもかしこも安売りばかりで、高い値段じゃ売れません」というのなら、あなたの商品の価値が普通すぎるか、あるいは本当の価値が伝わっていないかのどちらかです。

 本当の価値が伝わってこないなら、伝え方を代えればいいだけです。
  ですが、競合品と比べてとりたてて伝えるべき特長がない場合は困ってしまいます。そんなとき、「やはり、価格を下げるしかないのか…」と思いがちですが、それでも「ストーリー」という価値ならプラスオンできる場合がよくあります。
  通販利用客の大半を占める女性とは、「言葉」に弱い生き物です。甘い言葉にトロンととろけた目をすることもあれば、「あの言い方はないと思うわ」と小さな言葉にこだわって激怒することもあります。
  つまり、あなたの商品に、競合に勝る特長がたくさんある場合でも、伝わる言葉で訴求しないと売れません。女ゴコロにびびっと伝わる「言葉化」ができているかどうか――これこそが、「売れる」「売れない」の分かれ道になるのです。
  そこで、この本では、女性ターゲットに商品を売る場合のストーリーによる価値の高め方と、高めた価値を伝える「言葉化」の手法についてお伝えしていきたいと思います。
  モノが溢れる時代となって久しいこの国では、消費者たちはすでにモノ選びのプロです。商品のスペック的な機能を伝えられていても「それがどうした」で終わってしまい、記憶の隅にさえ残してくれません。特に女性はその傾向が顕著で、数字や専門用語はすぐに忘れます。でもストーリーがあれば、その文脈だけは何となく記憶に残るものなのです。
  あなたのショップや商品の名前がなかなか覚えてもらえない、リピート客が少ないというのなら印象的なストーリーがたりないのかもしれません 。
  たとえば、「パン」と「焼きたてのパン」は印象と価値が違います。「パン」と「天然酵母パン」も違います。さらにいうなら、パン屋さんの店頭に「焼きたてパン 200円」のPOPと「この道30年のパン職人が、早朝4時から焼いたパン 200円 限定30個」のPOPがあるとしたら、どちらの方が早く売れると思いますか?
  これがストーリーの魔力? いいえ実力です。具体的にリアルに情景が浮かび、人が浮かんで作られたシーンが脳内に再生されるとき、人はその商品に価値を感じやすくなるのです。
  あなたのお店や商品が持つストーリーを言葉化して、ちゃんと伝える。これは大企業でなくても、資金がなくてもできる、オンリーワンになる方法です。人・物・金がない小さな会社でも「ストーリー」があればヒット商品を生み出すことが可能になるのです。

言葉、ストーリーの力で、あなたの商品を売れる=モテる商品にしましょう。お客様をひきつける、モテモテの「モテ通販」をめざしましょう!