この本で書いた内容は、実は書いてはいけなかったのかも知れない。それほど読んだあなたにとって衝撃的な内容だからだ。いや、あなただけではない。競馬界全体で見ても、このことについて馬券という視点から、専門的に書いた本はない。
 サラブレッドの脚は、「ガラスの脚」と呼ばれるぐらい、細くてもろいもので、常に故障という恐怖と戦い続けている。
 このような脚元の故障は、一般競馬ファンのイメージでは、突発的に起こる「事故」によって引き起こされるというイメージだが、実際にはそうでないケースも多くある。
 例えば、厩舎関係者のコメントによく出てくる「ソエ」。これは、若駒に多い症状で、強い調教などが原因で、スネの部分が微細な「疲労骨折」を起こして、腫れ上がってくるもののことだ。いくら微細だとはいえ、疲労骨折を起こしているわけだから、当然痛くないはずがない。
 しかし、これらの程度の軽い故障=脚部疾患を抱えていても、サラブレッドが経済動物である以上、よほどの将来性を感じさせる素質馬でない限りは、そのまま出走させられることがほとんどだ。
 だが、このような競走能力に大きな影響を与える脚部疾患について、馬券を買う一般競馬ファンは、ほとんど情報を手に入れることができない。新聞のコメントなどで多少書いてあることもあるが、実際の件数の、10分の1もフォローできていないだろう。
 テレビの解説なんかはもっとひどい。パドック解説では、「毛ヅヤがよく抜群のデキですね」とか、「踏み込みがよく、気配が目立ちます」といったようなコメントばかりで、肝心の脚元について触れる解説は、全くと言って良いほどない。実際、解説者がベタ褒めしたような馬の脚元を見てみると、とても力を出し切れないような、ひどい状態だということもよくあることだ。当然そんな馬は掲示板にも載らない。
 「脚が悪ければ力を出し切れない。」生き物だから当たり前の話なのに、なぜ新聞やテレビなどのメディアは、これらの情報を一般競馬ファンに対して公開しないのか?
 それは厩舎サイドにとっては自分の馬の「傷」を敵に知らせる必要もないし、マスコミの人間は、情報を聞いていても、その情報を流せば、以後その厩舎に出入り禁止になったりするからだ。また、テレビの解説者やトラックマンなんかは、その見方すらも知らない人も多い。だから、あんなに的外れの解説をするわけだ。
 競馬社会がこんな有様だから、一般競馬ファンに入ってくる情報は上辺だけの薄っぺらいものになり、その結果、形成される人気も歪(いびつ)なものになるわけだ。
 しかし、これを逆に考えると、この「脚元に関する情報」を知っていれば、世間一般の知らないところで、歪な人気の恩恵を受けることができ、結果、そこに大儲けするチャンスを得ることができるわけだ。
 人が知らないことを知っているだけで、大きなアドバンテージを得ることができる。
 例えば、単勝人気1倍台の馬が、脚元に不安を持っていれば、それを蹴飛ばして、簡単に万馬券をしとめることもできる。また、継続して見ていれば、脚元の疾患が原因で凡走していた馬の脚元が治った時に、その激走のタイミングをピンポイントで狙い打つことができるわけだ。
 また、本命サイドの馬券については、脚元の状態を点検して大丈夫なものだけ買えば、それだけで勝率が格段に上がるだろう。1番人気は統計上3回に2回負けるわけだが、そのうち、脚元が原因で負けている馬の数は、実際、かなりの数に上る。具体的な数字で見ると、2002年の1番人気で2着以下に敗れた約2200頭の内、500頭近くの馬が、脚元に何らかの不安を持っていたのだ。これらの馬を除いて買うだけで、その勝率は約50%に跳ね上がり、回収率も100%を超えることができるのだ。
 この本では、この「脚元の状態」を把握し、そして、それを馬券に生かす方法について、実際の例を用いながら話していく。
 たぶん、この本を読み終えて、マスターした頃には、オッズを見て一人笑う、怪しいあなたの姿があるだろう。そして、周りの競馬ファンが全て「お客さん」に見えてくることは間違いないだろう。
 それでは、あなたを完全なる勝ち組馬券師へと導くプログラムを開始しよう。