この世の中は、すべて陰と陽とで成り立っている。陰陽とは、世界を表している。陰とはマイナス、すなわち負の世界。そして、陽とは正の世界。負はマイナス、正はプラス。この二つがお互いに反発し合ったり、引き合ったりして完全な世界の秩序が保たれている。
 では、陰陽道とは何か。その起源は紀元前二千年の古代中国にまでさかのぼる。つねに自然の脅威にさらされていた人々にとって、その変化を予測することは、自らの命に直結する最大の関心事であった。やがて人々は天地自然中に神を求め、神と一体化することにより守られるという、シャーマニズムに近い考えが広がっていった。シャーマンは神の言葉を伝える役割を持ち、雨乞いなどの宗教儀礼を行い、占術によって人々から崇拝されるようになった。
 人は万物の根源を突き詰め、万物の根本原理を解き明かせば、次に起こりうる出来事を推測することができると考え始めた。そのために陰陽道とは宇宙を支配する原理を追求し、世界の動きを解読する思想や技術として位置づけられるようになった。
 陰陽師といえば、平安時代の安倍清明が有名だが、彼らは陰陽道に精通した、いわば占い、加持祈祷に長
けた集団である。決して超常現象を引き起こす能力などは持ち合わせてはいないし、将来を予測することもない。ただし、陰と陽とを組み合わせた易学という中国から伝来してきた学問を熟知していた。そこで説か
れている九星方位学や四柱推命学などを用いて、将来を予測した。これらの学問の基本はいわば統計学であ
る。将来そうなる確率が高い、それが結論である。
 誰しも、この世の中を意図的に操作することなどできない。とくに自然の脅威に対しては無力である。預言、予測、そうした行為は過去の事象の繰り返し、つまり循環として判断する。
 本書の目的は、もっと単純明快。
 馬券を当てる術として、かつて陰陽師たちが学んだ陰陽道の基本原理を使わせていただくことにした。
 世の中の動きや変化が、陰陽道の原理通りに動いていくならば、その原理通りに競馬という生きたギャンブルも動いていく。変化していく。この不動の陰陽道の原理とは、「陰陽五行説」である。
 本書はこの「陰陽五行説」の基本にしたがって、過去の成績の統計とを重ね合わせて、永久不変の出目理
論と出目表とを馬券ファンのために公開する。決して難しくはない。極端にいえば原理原則は知らなくてもけっこう、本書の指示通りに馬券を買えばいい。ただし、最終判断はそれぞれの馬券スタイルにしたがっておこなってもらうしかない。
 陰陽師・安倍清明のごとく、自在に馬券というあやかしに果敢に挑戦していただきたい。本書はそのよき道しるべとなることだろう。