競馬の世界で「ポケット」といえばジャングルポケットかその産駒ですが、『ポケットいっぱいの秘密』というのは往年のアグネス・チャンさんのヒット曲の題名です。
「アグネス」といえば、アグネスタキオン・フライト・デジタル・レディー・フローラ・ワールドなど、そうそうたる名馬を所有する渡辺孝男馬主の『冠名』ですが、その由来は彼がアグネス・チャンのファンだったからだそうです。なので「アグネス」の馬名は、すべて画数を奇数にしているそうです。
 彼女は1972年に「ひなげしの花」で日本デビューし、当時はかなりのスーパーアイドルで、安倍元首相もファンだったようです。『ポケットいっぱいの秘密』は74年に発売された彼女の6 枚目のシングルでオリコン最高位は6 位。そしてこの作品は、伝説のロックバンド「はっぴいえんど」のドラマーにして70~80年代の代表的作詞家『松本隆』さんのプロ作詞家としてのデビュー作でもありました。
 その松本隆さんが以前に何かのインタビューで、この曲に関して語っていました。要約すると「プロ作詞家というのはあくまでも売れることが使命なのだが、『自分だけの遊び』みたいなことを潜り込ませたかった」
『ポケットいっぱいの秘密』の歌詞の一部はこうです(うろ覚えですが……)。

 あなた草の上  ぐっすり眠ってた
 寝顔が優しくて 好きよってささやいたの

 この歌詞の頭の音を拾っていくと、『アグネス』になっています。

 JRA競馬という政を司る人々は、現代の歌人として、さらに天才芸術家集団として、極上のエンタテインメントを繰り広げ、我々を魅了してくれています。同時にその裏には、有能な官吏として粛々とレースを遂行させながら、この社会の「ある層の人々に、何らかの目的で、ある種の利益供与」を行っているふしがあります。それを外部から解き明かし、インターセプト(?)する鍵は番組表の中にしかないと思います。
 我々は観客としてそれらの「論理的・数理的美しさ」を楽しむだけでなく、そうした様々な秘密を暴き出し、馬券的にも圧倒的な勝利を目指すべきで、それは十分に可能です。それこそが「JRA競馬を満喫」するということだと思います。本書は欲張りですが、このような皆さんの「物心両面での楽しみ探し」のお役に立てれば光栄です。