競馬はキング・オブ・スポーツと言われる。数百年以上の長い歴史を持ち、世界中いたるところで行われているからそう言われるのだが、その根底には、人と馬の織り成す文化(賭け事という側面も含め)があることを忘れることができない。そこには、ロマンがあり、サスペンスがあり、喜怒哀楽があるのだ。
 生産者はダービー制覇を目標にして子づくりに励み、馬主もまたダービーへ、そして凱旋門賞へと夢を抱く。競馬ファンはファンで、自分が競馬場で見てきた馬の子が何年後かに競馬場に現れるのを楽しみにしている。
 見果てぬ夢は終わりなく続いていくが、その夢の跡には信じ難いことも残っていたりする。ファンタスティックな出会いが必ずあるのが競馬で、それが私たち競馬ファンの心をとらえて離さないようにしている。
 馬ひとつとってみても、とても届かないところから追い込んできて勝ってしまう馬、子供をお腹に抱えながら勝利した馬、レース中に噛み付きに出る馬、巨根を自慢したがる馬……と、とにかく驚きに富んでいる。  馬券自体もファンタスティックである。もし、幸運の女神が微笑んでくれさえすれば、わずか数分間で百円が何百万円に化けて還ってくることもあるのだ。その逆に、運悪く鼻の差で大金を取り損ねたりもする。
 競馬はレースの種類がバラエティに富んでいることでも魅力的。
ダート競馬もあれば、芝の競走もある。ジャンプ競走もあれば、ばんえい競馬もある。さらには、その競馬をナイターで楽しむこともできる。
 世界を見渡せば、フランスでは繋けいが駕競走の人気が高いし、スイスでは湖上で競馬を行ったりしている。  勝負事だから、珍記録や怪記録にも事欠かない。「えー、そんなことありえない!」といったことが、本当にあったりするのだ。
 賭け事ゆえ、八百長問題やドーピング事件が起こったりもする。ときには、不可解な誘拐事件も起こったりした。
 とにかく、ドラマに事欠かないのが競馬なのだ。
 本書は、主に日本の競馬のこぼれ話や珍事件、怪記録を中心にまとめたものだが、楽しんでいただけたら幸いです。