まだ若造の編集者だった頃、ミスターシービーの豪快な競馬に魅了されて、競馬の世界に足を踏み入れた。その後、数々の名勝負やドラマを目の当たりにし、胸を熱くしてきたが、馬券収支はけっして目を見張るほどのものではなかった。
クラシックなどのGⅠレースでは、稀に高配当が出ることはあっても、たいていは手堅い決着で終わるため、穴馬券だけを狙い続けていては、収支は結局マイナスになることのほうが多い。 意気揚々と競馬新聞を手に朝から競馬場に乗り込み、早い時間の平場戦で的中したものの、メインのGⅠレースでその勝ち分まで吸い取られ、寒々しい思いでオケラ街道を歩いた経験も数知れぬほどある。
勝った負けたを繰り返して、気がついたらトントンに。そんな馬券の買い方を続けることに果たして意味があるのか。自分自身の儲け云々ではなく、馬券情報を提供する立場の人間として、的中率をさらに高める効果的な方法はないだろうか。そう思い、過去のデータを洗い出してみると、ハンデ戦の的中率が突出していることがわかった。それ以来、ハンデ戦のデータを集中的に分析。次々と法則性を見つけ出し、ハンデ戦だけで勝負するようになったのである。

さて、私の戯言はここまでにして、読者の方々はハンデ戦について、どのようなイメージをお持ちだろうか?
「人気馬が来ない」「軽ハンデ馬の大駆け」「高配当が期待できる」など、馬券的な魅力がある一方で、「人気が割れやすい」「買い目が絞りきれない」など、予想が難しいとして敬遠する方も多いのではないだろうか。
2010年にはJRAで実に212戦のハンデ戦が開催された(障害戦を除く)。競馬自体は毎週末を中心に、107日間(順延含む)開催されており、平均すると1日にほぼ2戦ずつハンデ戦が行われたことになる。この2戦を確実に当てるのと、狙いを絞りきれずに外してしまうのとでは、1日の馬券収支に大きな差が出るのは明らかだ。
ご存じの通り、馬が背負うハンデキャップ(以下、ハンデとする)は、JRAのハンデキャッパーが設定している。「ゴール前、横一線」が目標とも言われるが、実際のレースではそうならないことのほうが圧倒的に多い。
実力に比べてハンデの軽かった馬の好走や、コースやレースの傾向、馬が斤量に敏感かどうか、さらには血統やローテーションなど、それぞれの馬にはそれぞれの好走要因や敗因が存在する。それらを詳細に分析してみると、ハンデ戦の狙い方がはっきりと見えてくるのだ。

本書では、そのようなハンデ戦を狙うのに欠かせない必勝パターンをまとめ、それぞれの事例を挙げて紹介した。
各パターンの詳細については、本文を読んでいただきたいが、いずれも私が長年、競馬予想に携わりながら研究し、実際の馬券戦術で大いに力を発揮したものばかりだ。
読者の皆様がこの本をきっかけにハンデ戦にさらなる興味を持ち、高配当馬券を的中されることを願うばかりである。