俺の周りには【競馬好き】が多い。奴らは勝ったり、負けたりして、結局収支はマイナスだ。しかし、G1を当てたときなどは『取り紙』のくせに大いに威張る。
 あるいは、それまでに儲けた金を全部メインに突っ込んでやられたと、競馬場帰りに立ち寄った居酒屋で嬉しそうに話す。儲けたレース、当たったレースの自慢話を酒の肴にするわけだ。そんな【競馬好き】の連中に俺はいつも聞いてやる。

「お前はなぜ競馬をやる?」
「それれは儲けたいからに決まってるだろ」
「で、今日は儲かったか? 」
「9Rと10Rを少し当てて一時儲かっていたんだが、メインを外したからチャラだ」
「それで楽しいか?」

 こんなことを聞くとたいていの【競馬好き】は嫌な顔をする。当たり前だな。

「負けなかったら『よし』だろう?」
「でも、さっき、競馬は儲けるためにやる、っていったよな」
「ああ、その通りだ」
「じゃ、なぜメインに大金使って外したんだ?」
「そりゃ、G1だもん、勝負するのが当たり前だろ」
「そのG1は9Rと10Rよりも自信があったのか?」
「ああ。データはいつもメインのほうが多いからな」

 そういって【競馬好き】は持参した資料やノートを見せて、一通り【うんちく】を語るわけだな。俺は黙って聞いてやる。

「……なるほど。で、結局、それでも外したわけだな」
「うるせーな。お前だってG1外しただろ!」
「ああ、外したよ。でも少額だ。それでも俺は儲かったぜ」
「何でだ?」
「お目当ての最終レースを絞って厚く当てたからだ」
「見せてみろよ」

 俺は財布を見せるのが嫌なので、コピーしておいた馬券の写しを見せる。

「な。最終獲ったら、その日は『勝ち』さ」
「……。そりゃ、そうだ。負けようにも負けるレースがもうないんだからな」
「俺は、最終レースをいかに獲るか、といつも考えてるぜ」
「そりゃそうだけどな。でも何でこんなに勝負ができたんだ?」
「そりゃ、データがあるからよ。でもお前さんがG1のために用意した資料に比べると、うんと少ないもんだけどな」

 ここまで話すと【競馬好き】は必ず「教えろよ」と聞く。俺はいってやる。『ただ』では教えられんな、と。

 本書ではその『秘訣』の一部を明かす。
 ポイントはJRA番組に潜む『仕掛け』を解くこと。特に今年の春競馬でハマった『3年セット』にスポットを当てた。
 第1章ではこの視点の解説を、第2章ではこの視点で秋季番組全施行日の仕掛けを書いておいた。
 これはG1しかやらないインテリ馬券好きではなく、毎週最終レースまできっちり見届ける【現場派】の競馬好きに読んでもらいたい。かなり歯応えのある1冊になると思うぜ。
 じゃ、なぜそんなに歯応えのある『秘訣』を明かしたか、って?
 そりゃ購読者は金を払って本を買う。『ただ』じゃないから教えるのさ。

 ただし、この本を買っても読んでもダメなヤツらがいる。それはパクリを何とも思わない情けない競馬予想屋だ。以前、共著で書いたネタを平気でパクったヤツがいたが、そんな厚顔無恥の競馬本専門野郎は絶対買っちゃダメだぜ。
 何しろ、この本は今までにない【当日の仕組み】の解読法を書いているからな。
 そのへんに落ちている出目や騎手のヘッピリ連動理論とはわけが違うんだ。真似されるのだけはかんべんだな。
 とにかく、この本は【本邦初】となる【当日連動レース示唆ブック】。しかも【05年秋季競馬完全版】だ。メインの『仕掛け』も書いておいたが、主眼は他のヤツが見過ごす『重賞以外の3連単発売レース』、特に『最終レース』に主眼を置いた攻略本だ。
 読後に「これを読んだおかげで最終レースが獲れるようになった」と喜ぶ競馬「オヤジが増えることを願う。最終獲った後の酒は格別に旨いぞ。