まずは、妊娠された方、おめでとうございます。長く望み続けてようやく赤ちゃんが来てくれた人も、想定外にポコっと授かられた人も、これから充実したマタニティライフを過ごせますように。そして今、子どもを持つことを考え始めた人も、妊娠を計画中の人も、かわいい赤ちゃんを授かりますように。

 さて、妊娠を計画し始めたり、実際に妊娠したりすると、いろいろなことが気になるようになりますよね。妊娠前にできることはないのか、妊娠中はどう過ごすべきか、病院はどう選ぶべきなのか、出産ってどんなものなのか、などなど。

 そして出産経験のある母親世代の人や、友人・姉妹などに質問をする人も多いでしょう。でも、個人の体験談というのはインパクトが大きい反面、信頼性は低いもの。もっと広く情報を集めたくなるだろうと思います。

 今の日本は情報にあふれています。知りたい事柄をネットで検索すれば、無料で大量の情報を得ることができます。しかし、その情報は本当に正しいでしょうか? ブログ主やコラムの執筆者は、どこまで責任を持って書いているのでしょうか? 中には、多くの人にアクセスしてもらいたいがために大げさなタイトルをつけ、医学的に間違った情報を広める人もいます(というより、よくいます)。有名なニュースサイトですら、間違った情報をばらまくこともあるほどです。

 さらには、一部の医師や助産師などの医療関係者が間違った情報を伝えることもあります。実際に、私も妊娠中に医療関係者から「足首を冷やすと微弱陣痛になるよ」と言われたり、体重が増えないことをほめられたりと、医学的根拠のないことや間違っていることを言われたりしました。私は産婦人科医なので真偽を見抜けましたが、一般の妊婦さんが見抜くことはとても難しいだろうと思います。

 これまで私は、何万人という妊婦さんとお話をし、何千というお産の経過を最後まで見守ってきました。診察の最後には必ず「何か気になっていることや聞いておきたいことはありませんか?」とたずねるのですが、実際にまわりの出産経験者やインターネットによる情報などに振りまわされ、調べれば調べるほど不安になっているという妊婦さんがとても多いことを日々痛感しています。そうして不安に陥っている多くの妊婦さんたちに、正しい情報を届けたいという思いもあって、臨床の傍らテレビや新聞などのメディアにも出たり、さらにTwitterやニュースサイトなどで間違った記事を見つけたときには訂正を求めたりしています(誰かに頼まれたわけじゃないんですが……)。が、それでも、正しい情報をきちんと伝えることの難しさを日々感じているところです。

 そこで本書では、プレ妊婦さんや妊婦さんのよくある疑問や不安に、専門家のバイブルや文献などの確かで偏りのない情報をもとにわかりやすく答えました。妊娠前から産後までに必要なひと通りの知識はもちろん、あまり知られていないけれど大切なこと、知っておくと役立つ情報まで、たっぷりと詰めこんでいます。さらに、「やせている人ほど安産になる」とか「帝王切開は3回までしかできない」など、ちまたでは当然のように言われているけれど、じつは少しも正しくない妊娠・出産の都市伝説にもふれました。ですから、この一冊を読んでいただくと、きっと間違った情報に悩まされることが減るのでは、と思っています。

 プレ妊娠編、妊娠編、出産編、産後編という順序になっていますから、初めから終わりまで通して読んでいただくと流れがつかみやすいかもしれません。もちろん、Q&Aなので、必要な部分を辞書的に読んでいただいてもOKですよ。

 みなさんがママになるまでの道のりをより楽しく、またお腹の赤ちゃんとともに安全に安心して過ごすために、この本が少しでもお役に立てばうれしいです! ぜひ、ゆっくり読んでみてくださいね。