ママ

毎月第2木曜更新!

 あるお母さんと話していたら、「子どもができてから、改めていろいろ考えました。看病って何をしたらいいのかって。何をしたらいいんですか?」と聞かれました。考えてみると、これが看病ですよって習う機会はないですね。いろいろな正解があるとは思いますが、患者さんが求めるものを速やかにあげて、よく休んでもらうことが看病だと私は思います。

 まずは環境を整えましょう。病気の人は横になって休むのが楽でいいですが、清潔で柔らかい寝具があるといいですね。足音や話し声といった生活音まで控えなくてもいいと思いますが、騒音がするとか、振動が伝わるというのはよくないですね。健康な人でさえ、そんな環境ではゆっくり眠れません。

 それから寒い、暑いのはどちらもつらいものです。ちょうどいい室温と湿度が保たれていたら居心地がいいでしょう。特に決まった数値はありませんが、冬季なら室温20~22度で湿度40~50%、夏季なら25~27度で50~60%くらいを、おおよその目安にするといいかもしれません。熱があって暑がる場合や寒気がして手足が冷たいようなときはお子さんの様子に合わせて調節してくださいね。

 服装は、パジャマでも部屋着でも楽なものを着せましょう。熱があるとたくさん着せなきゃと思う人がいますが、それは間違いです。寒気があるならもちろん着せてあげてほしいのですが、高熱のときに厚着させると熱がこもってよけいに苦しくなりますから、様子を見て調整してください。体温が上がるのはウイルスや細菌といった侵入者と戦うため。病気が治ったら体が熱を下げていいと判断し、汗が出て熱が下がるのであって、汗をかいたら病気が治るわけではありません。特に自分で衣服の調節ができず、「暑い」などと言えないほど小さな子の場合は気をつけましょう。

 熱とともに頭痛がしたり、関節や筋肉が痛くなったりすることがあります。そういった際には、薄着にして解熱剤や氷枕のようなものや使うのもいいでしょう。額に貼るシートは、お子さんが気持ちよさそうなら使ってあげてください。嫌がるなら必要ありません。特に、1歳未満の子は自分で取ろうとして鼻と口をふさいでしまう事故が起きているため注意が必要です。

 食事は摂れるなら、なんでもあげましょう。お子さんが小さかったら母乳や粉ミルクですね。咳や鼻水、発熱などの症状が出る上気道感染(いわゆる風邪)の場合、食事制限をする必要はありません。調子が悪いときはバランスよく食べられなくても仕方がないので、食べられるものをあげましょう。

 お腹の風邪、つまり胃腸炎だったらどうでしょうか? もしもお子さんが吐いたり下痢をしたりして、食べてもすぐに出してしまうという状況なら、水分を与える程度がいいかもしれません。でも、激しく吐くのは一般に1日くらいのこと。もしも本人が食べたそうにしたり、「食べたい」と言ったりした場合は、あげてみましょう。固形のもののほうが、液体よりも吐かない場合もあります。私が研修医の頃は、胃腸炎の際に絶食にしてお腹を休めるということをまだ大学病院でもしていました。2000年に Journal of Pediatric Gastroenerology and Nutrition 30(5)に載った急性胃腸炎の治療の柱によると、それは間違った方法です。
急性胃腸炎によい治療の9つの柱は以下のとおり。

(1)脱水の水分補正には経口補液剤(Oral Rehydration Solution)を用いる
(2)使用ORSは低張液とする(ナトリウム60mEq/l、ブドウ糖74-111mmol/l)
(3)ORSによる脱水補正は急速(3—4時間)に行う
(4)食事の再開は早く行い、固形食を含む正常食とする
(5)治療乳は不要
(6)希釈乳は不要
(7)母乳栄養児では母乳を続ける
(8)治療中の水分喪失はORSで補正する
(9)不必要な薬物は使用しない

 ORSは病院で処方してもらうこともできますが、薬局や大きめのスーパーでOS-1という名前で市販されています。通常のスポーツ飲料は糖分が多すぎて、ミネラルが少ないのでOS-1あるいは、赤ちゃん用のイオン飲料が適しています。この9つに即して看病していても、お子さんがぐったりしていてつらそうだったら、医療機関に行きましょう。脱水になっていたら点滴をすることがあります。

 お風呂は、ぐったりしてつらそうだったら入れないでおきましょう。逆に高熱があっても元気なら、お風呂に入れても大丈夫。特にお腹を痛がったり、下痢をしたりしているときには、お腹を温めると楽になることが多いので可能なら入浴させてあげてください。小さい子は下痢が続くとオムツかぶれがひどくなりますから、拭くのではなく温かいシャワーで流すのもいいですね。

 前回の記事でも書きましたが、お子さんの調子が悪いとき、必ずしも早く医療機関に連れて行かなくてはいけないわけではありません。解熱剤も風邪薬も症状を和らげるだけのものなので、早く飲んだから早く治るというものでもありません。お子さんにとっては、できれば居心地のいい家で保護者の方が優しく接してくれるのが一番です。
でも、いつもと様子が違うとき、風邪ではない重大な病気でないかどうかを診てもらいたいとき、家での看病だけではお子さんがつらそうなときには医療機関を受診してくださいね。

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著者プロフィール

森戸やすみ(もりと・やすみ)

1971年東京生まれ。
1996年私立大学医学部を卒業し、医師国家試験に合格。一般小児科、NICU(新生児集中治療室)などを経て、現在は市中病院の小児科に勤務。

著書

育児の不安

らくちん授乳

育児の不安
各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと
http://www.metamor.co.jp/maegakipage/kodomowomamoru/”>【はじめに】はコチラ