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毎月第2木曜更新!

 たまに「子どもに解熱剤を使ってはいけない」という説を見かけることがあります。これは本当でしょうか? 

 まずは、熱が出る仕組みについて知っておきましょう。
 私たちの体は、ウイルスや細菌、真菌などの有害な異物が一定量以上入ってくると、血管内皮細胞・単球・マクロファージなどの細胞から伝達物質が出て、脳の体温調節中枢に非常事態を伝え、体温が上がる(発熱する)仕組みになっています。具体的には、寒気を感じさせる(衣服を着させる)、筋肉を震わせて体内での熱産生量を増やす、熱を奪う汗の分泌量を減らす、手先・足先の皮膚の血管を収縮させて熱の放散を減らすなどして、体温を上げるのです。

 こうして体温を上げるのには理由があって、体温が高いほうが異物を追い出すための免疫機能がうまく働き、風邪を起こすようなウイルスは高い温度に弱いため。つまり、発熱は体がウイルスや病原菌のような有害な異物と戦うための方法なので、むやみに下げてはいけません。目的は、熱を下げることではなく病気を治すことです。

 でも、解熱剤を使ってはいけないというのは極端な話。いくら体が有害な侵入者と戦っているとはいえ、高熱で眠れなかったり、熱だけでなく関節痛や筋肉痛があったりするのはつらいもの。あまりにも食べられない、飲めないという場合は、脱水も心配です。そんなときは解熱剤を使いましょう。解熱剤を使う目安としては38.5℃以上、または発熱だけでなく他のつらい症状があるときにしてください。たとえ39℃以上あっても、お子さんが元気だったら使う必要はありません。大人も同じですが、つらくなければ熱を下げなくていいのです。

 解熱剤は、脳の体温調節中枢に作用して皮膚の血管を拡張させ、熱の放散をしたり、疼痛閾値を上昇させて痛みを感じさせなくさせたりする薬です。剤形は、坐薬、粉薬、シロップ、錠剤と様々ですが、子どもの場合は一般名でいうアセトアミノフェン(商品名ではアンヒバ、アルピニー、カロナール、ナパなど)が処方されると思います。アセトアミノフェンは最も副反応が少ないからです。

 大人によく処方されるアセチルサリチル酸(アスピリン)、メフェナム酸(ポンタール)、ジクロフェナク(ボルタレン)、ロキソプロフェン(ロキソニン)といった解熱鎮痛剤はNSAIDs(エヌセイズ)と呼ばれ、上記のような解熱鎮痛効果に加えて、炎症を起こしている部位で痛み物質ができるのを邪魔したり、末梢での痛みの感受性を低下させたりする作用もあります。ところが、子どもの場合は腎障害や胃腸障害がより出やすく、ライ症候群、インフルエンザ脳症などの誘因になる恐れがあるので使えません。ただし、イブプロフェン(ブルフェン)はNSAIDsですが、比較的副反応が少ないので小児に使うことがあります。
 
 解熱剤は医療機関で必要であると診断されれば処方してもらえますが、薬剤師または登録販売者が対応する薬局で市販薬として買うこともできます。セルフメディケーション・データベースセンターが運営する「おくすり検索」というサイトで、薬効分類の項目に解熱鎮痛薬、成分名の項目にアセトアミノフェンと入力すると、たくさんの商品名が出てくるはずです。お子さんによって坐薬がいい、粉がいいということがありますね。剤形という項目も選択しましょう。残念ながらシロップや散粒・細粒はないのですが、坐薬と顆粒は子ども用の解熱鎮痛薬があります。よくわからない場合は、薬剤師さんに確認して購入してくださいね。

 解熱剤の使い方ですが、シロップだったらそのまま飲ませましょう。または粉の場合でも同じですが、何かに混ぜて飲ませてもかまいません。水、ジュース、ゼリー、ゼリー状になっているオブラート、アイスクリームなどの普段から好きなものに混ぜるといいでしょう。坐薬の場合は、オムツを替えるときのように子どもを仰向けに寝かせて、肛門に入れて4~5秒間押さえてから、両足を真っ直ぐ伸ばすと筋肉の動きによって奥に入っていきます。滑りがよくなるように表面を水で濡らしたり、ワセリンを塗ったりして入れる人もいるようです。錠剤が飲める子は、多めの水や麦茶などで飲ませましょう。

 たまに解熱剤を飲ませたのに平熱にならないと心配する保護者の方もいますが、39℃が38.5℃になっただけでも体のつらさは軽減するはずです。お子さんが少しでもラクになったら効いたと判断してくださいね。また効果は数時間で切れますから、再び発熱しても驚かないでください。4~6時間あけたら再投与してもかまいません。でも、1日2回くらいにしておきましょう。

 保管する場合は、直射日光の当たらない涼しい場所に置いてください。坐薬は、気温が高いと柔らかくなってしまいます。薬の効き目は変わりませんが、使いにくくなるので、冷蔵庫に入れておくのがおすすめです。保管できる期間は、子どもは成長して体重が増えることで薬の適正量が変わるし、使用期限もありますから半年から1年程度と思ってください。それを過ぎたら捨てましょう。

 最後に、生後3か月までの子どもの場合は、解熱剤で様子を見るのではなく、すぐ医療機関にかかってください。小さな子では症状が少ないので、発熱しかなくても重大な病気である可能性があります。それ以上の月齢の子では、食べられないばかりでなく水分が飲めずぐったりしているとき、一日中うとうとして横になっているとき、発熱が何日も続くときは小児科を受診しましょう。

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著者プロフィール

森戸やすみ(もりと・やすみ)

1971年東京生まれ。
1996年私立大学医学部を卒業し、医師国家試験に合格。一般小児科、NICU(新生児集中治療室)などを経て、現在は市中病院の小児科に勤務。

著書

育児の不安

らくちん授乳

育児の不安
各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと
http://www.metamor.co.jp/maegakipage/kodomowomamoru/”>【はじめに】はコチラ